【作品紹介】白鳥静香 時事評論集


まえがき

 私たちは、民主主義の世界に生きています。

 しかし、歴史のなかで、民主主義が実現されたのはごく最近の

ことであり、

ほとんどの時代、私たち人類に政治的自由はありませんでした。

 また、現代であっても、

民主主義が制度的に完成しているという国は、けっして

多くはないでしょう。

 ひょっとすると、先進国といわれるアメリカやヨーロッパや

日本であっても、

必ずしも民主主義が完成しているわけではないかもしれません。

 なぜなら、民主主義とは、

私たちひとりひとりが社会全体のことを、自分自身のことのように考え

るということだからです。

 昔は、王様や貴族や官僚だけが公のことを考えればよかったし、

逆に、一般民衆は、公のことを考えることを禁じられていました。

 一般民衆は、ただ、自分自身の生活のことだけを考えていなさい。

 という世界であったでしょう。

 人類はずっとそのような世界にそのような考えのもと

生きてきたのです。

 しかし、民主主義とは、そのような制度ではないのです。

 民主主義とは、すべての人が、本当にひとりひとりの人が、

公のことを、自分自身のことのように充分な知識を持って、

考えるという制度、

考えなくては機能しない制度なのです。

 そのように考えると、

現在、世界で最も民主的な世界に住む私たちであっても、

必ずしも、民主主義的な精神を持っているとはいえないと

思うことがあるのです。

 私たち自身の生活をふりかえってみると、

ついつい、視線を自分自身に固定してしまって、

社会的なこと、公のことを人まかせ、

政治家や官僚まかせにしてしまっているということが

どうしてもあるからです。

 繰り返しになりますが、

民主主義の世界に住んでいるということは、

職業や、立場に関わらず、

すべての人が、

世界のことを自分自身のことのように考える

責任があるということであるのです。

 民主主義が完成したと本当にいえるのは、

ひとりひとりの人が世界全体のことを自分自身のことのように考える

ようになったときであるのでしょう。

 人間の思考力には限りがありません。

 みんなが幸せになるにはどうしたらよいか?

 考えるなら、いろいろな人がいろいろなことを思い付くと思います。

 この小さな本が、すべての立場を尽くしたとは思いません。

 もちろん正反対の考えの方もいるでしょう。

 それはそれで素晴らしいことであると思います。

 でも、たとえ、意見や立場は同じでなかったとしても、

もし、この本が、誰かのものを考えることの楽しさを知るきっかけに、

あるいは、世界のことを考えるきっかけになってくれれば

本当に幸せに思います。

                  2017年6月30日  白鳥静香


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